【刻む記憶~東日本大震災10年】三沢二中生 震災テーマに学習、成長の糧に

3年間の総合学習の成果を振り返った(左から)小林中教諭、根城桜華さん、長根杏花さん=2月下旬、三沢市立第二中
3年間の総合学習の成果を振り返った(左から)小林中教諭、根城桜華さん、長根杏花さん=2月下旬、三沢市立第二中
三沢市立第二中(冨田隆校長)の3年生69人は本年度までの3年間、東日本大震災を主なテーマとした総合学習に取り組んだ。きっかけは教員の「震災を知りたい、伝えたい」との思い。人々の経験、被災地の状況、苦しむ人を支えるボランティア―。中学校生活を.....
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 三沢市立第二中(冨田隆校長)の3年生69人は本年度までの3年間、東日本大震災を主なテーマとした総合学習に取り組んだ。きっかけは教員の「震災を知りたい、伝えたい」との思い。人々の経験、被災地の状況、苦しむ人を支えるボランティア―。中学校生活を通じて学んだ内容は、一人一人の成長の糧となっている。[br][br] 総合学習を担当した学年主任の小林中教諭(61)によると、3年生は震災を主題に、1学年で職業人、2学年で防災、3学年でボランティアについて、校外学習を取り入れながら学び、12月には成果を発表した。[br][br] 1学年では、地元や八戸市内のさまざまな職場を訪ね、働く人が震災発生時にどのように行動したのかや学んだ教訓を調査。2学年に上がると、三陸鉄道の震災学習列車に乗るなどして、岩手県沿岸部で起きたこと、被災した人の思いを受け止めたほか、修学旅行では首都圏の防災施設などを見学し、命を守る行動を考えた。[br][br] 本年度は、弘前市内で昨年9月、野田村への支援・交流活動を継続する弘前大ボランティアセンターや市民などによる「チーム・オール弘前」について、同大人文社会科学部の李永俊教授に話を聞き、ボランティアに携わる学生とはオンラインで交流。時間をかけて寄り添い続ける李教授の「絶対に立ち去らない」との決意や学生の信念は、生徒の心に響いたようだ。[br][br] 小林教諭は2012年度、七戸町立七戸中から第二中に赴任し、総合学習を開始。毎年持ち上がり、一つの学年を3年間支えた。現在の3年生で3巡目だ。[br][br] 「誰がどう動き、どんな思いをしていたのかを知りたくて、テレビ番組を撮りためるなどした」と小林教諭。「震災を受けて何かをしたかったが、何もできずにいた。教師の立場で知ったことを伝える機会を持ちたかった」と、震災をテーマに掲げた経緯を語る。[br][br] 校外学習以外の時間も、保存している3月11日から1カ月間の新聞などを基に、震災で何が起きたのかを生徒に伝えた。[br][br] 生徒の発表では、震災は被害をもたらしただけでなく、つながりもできた―との意見が出たという。「起きたことを忘れないように学ぶのは大事だが、新たに良い影響が生まれた面も学んだようだ」と振り返る。[br][br] 震災当時、3年生は5歳児。根城桜華さん(15)と長根杏花さん(15)は、園舎が被災した市内の淋代保育所に通っていた。共に「あの日のことはよく覚えていない」と話すが、その後の保育所生活でボランティアらと餅つきをして楽しんだことなどを覚えている。[br][br] 3年間の学びから、2人は「また大地震が来るかもしれないが、すぐ避難できるように備えたい」(長根さん)など、防災意識の大切さや苦しむ人を助けるボランティアの素晴らしさを感じ取った様子。根城さんは「ボランティアでなくても誰かの力になれる人になりたい」と意欲を語る。[br][br] 「学習から生き方を考えてもらいたかった。見たものや聞いた話を、いつか生かしてくれたら」。小林教諭は、卒業を控える3年生の成長に期待を込める。3年間の総合学習の成果を振り返った(左から)小林中教諭、根城桜華さん、長根杏花さん=2月下旬、三沢市立第二中