青森県は3月中に、日本海溝・千島海溝沿いを震源とする巨大地震モデルを踏まえた津波浸水想定を公表する。太平洋沿岸のほとんどの自治体で浸水エリアが従来より拡大する見通し。関係市町村は県の新たな想定を基に、現行の津波避難計画の見直しや津波ハザードマップの改定に取り掛かる。防災拠点の移転や新設といった対応に迫られる自治体もある。[br][br] 国の想定で、県内で最も高い最大26・1メートルの津波が到達すると予測された八戸市は、2021年度に津波避難計画を策定し、ハザードマップの改定原案を作成する。関連経費として21年度一般会計当初予算案に1835万円を計上した。[br][br] マップの内容を踏まえた住民説明会も開催する予定。市防災危機管理課の下村晃一課長は「浸水エリアが広がり、避難者数も増えると予想される。新たな避難所の開設も検討しなければならない」と課題を挙げる。[br][br] 風間浦村では津波浸水区域が大きく拡大し、村役場や消防署の移転先としていた旧村立易国間小敷地で最大5メートルの津波が見込まれると判明した。[br][br] 村は今後、村議会や各地区の自治会長らで構成する建設検討委員会に諮り、新たな移転候補地を決める方針。候補地には、易国間地区の風間浦小や風間浦中周辺の高台などが挙がっているという。冨岡宏村長は「消防署、役場、中央公民館の順で災害対策に関わる施設から順次移転、整備できれば」と語る。[br][br] 県は21年度に、有識者で構成する「地震・津波被害想定検討委員会(仮称)」を設置し、地震と津波の防災対策を検討するための被害想定を見直す方針だ。