【連載・十和田市政の課題】(下)観光と中心街再生 通年集客、地域の好循環に/交流施設の効果は未知数

奥入瀬渓流エリアの冬の魅力を伝える氷瀑ツアー=昨年12月、十和田市
奥入瀬渓流エリアの冬の魅力を伝える氷瀑ツアー=昨年12月、十和田市
国内屈指の景勝地・十和田湖や奥入瀬渓流、人気が高い現代美術館がある十和田市。これらを有効活用した観光振興は、地域の活性化に欠かせない要素だ。 十和田湖・奥入瀬渓流エリアは長く低迷が続いていたが、ここ数年はインバウンド(訪日外国人客)もあり、.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 国内屈指の景勝地・十和田湖や奥入瀬渓流、人気が高い現代美術館がある十和田市。これらを有効活用した観光振興は、地域の活性化に欠かせない要素だ。[br][br] 十和田湖・奥入瀬渓流エリアは長く低迷が続いていたが、ここ数年はインバウンド(訪日外国人客)もあり、客足が戻っていた。[br][br] 青森県観光入込客統計によると、同エリアには2019年、126万人が訪れ、東日本大震災前の10年(125万人)の水準に回復。しかし、新型コロナウイルスが水を差した。[br][br] 台湾から多くの宿泊者を受け入れてきた湖畔の「ホテル十和田荘」の中村秀行社長は「観光業が元の状態に戻るのは2、3年後と言われている」とため息をつく。宿泊のメインが団体ツアー客だっただけに収益の落ち込みは深刻だ。[br][br]   ◆    ◆[br][br] 同エリアの課題の一つとして指摘されてきたのが、冬季観光の充実だ。 「星野リゾート 奥入瀬渓流ホテル」の髙橋伶央総支配人は「一年を通して安定した集客が、観光振興には重要。このエリアの冬の魅力は素晴らしく、夏や秋の水準になるよう、もっとPRしていく必要がある」と強調。「観光は裾野(すその)の広い産業で、通年の集客は、地域経済の好循環にもつながるはず」と話す。[br][br] 市は17年度から、奥入瀬渓流での氷瀑ツアーや奥入瀬渓流温泉スキー場でのスノーパークをスタート。これに呼応するように、冬季休業していた周辺宿泊施設が、冬場の営業を始める例も出始めている。2次交通の充実といった課題もあるが、伸びしろを生かして新たな展望を開く取り組みが再生の鍵を握る。[br][br]   ◆    ◆[br][br] 市中心部の官庁街通りにある現代美術館は、08年の開館当初から安定した高い集客を維持しており、19年度も16万人が訪れた。[br][br] 一方、中心商店街への波及効果が薄く、多くの店のシャッターが閉まっている光景は変わらない。19年度の商店街の空き店舗率は30%を超えている。[br][br] 市は現在、商店街に面する旧銀行跡地に、アートイベントも実施可能な多用途施設「(仮称)地域交流センター」を整備し、美術館と商店街を回遊する仕組み作りを展望するが、実際に商店街全体ににぎわいを取り戻せるかどうかは未知数で、市民からは疑問の声も聞こえる。[br][br] 近くに職場がある60代男性は「街のちぐはぐさが目立つだけだ」と指摘する。[br][br] 長年、模索が続く現状に、50代のある男性経営者は「必ずしも商店街に固執する必要はないのでは。やるなら抜本的な思い切った施策が必要で、できないならば市全体に目を向けた地域振興策を講ずる時期だ」と語る。奥入瀬渓流エリアの冬の魅力を伝える氷瀑ツアー=昨年12月、十和田市