十和田・奥入瀬渓流で糸状藻が再増殖/渇水の反動か

景観や生態系への影響が懸念されるカワシオグサ。渓流の川底に目立っていた藻(写真上、2018年11月26日撮影)は、記録的な渇水により、一時的に減少(写真中、19年11月28日撮影)していたが、再び増殖(写真下、20年12月12日撮影)している=十和田市の奥入瀬渓流(久末正明代表提供)
景観や生態系への影響が懸念されるカワシオグサ。渓流の川底に目立っていた藻(写真上、2018年11月26日撮影)は、記録的な渇水により、一時的に減少(写真中、19年11月28日撮影)していたが、再び増殖(写真下、20年12月12日撮影)している=十和田市の奥入瀬渓流(久末正明代表提供)
十和田八幡平国立公園の奥入瀬渓流で近年、増殖が問題になっている糸状藻「カワシオグサ」。昨年の記録的な小雨に伴う渇水で、発生が一時、抑えられていたが、今夏以降、再び目立ち始めている。独自に定点観測を続ける地元の自然保護団体は「(繁殖力は)今や.....
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 十和田八幡平国立公園の奥入瀬渓流で近年、増殖が問題になっている糸状藻「カワシオグサ」。昨年の記録的な小雨に伴う渇水で、発生が一時、抑えられていたが、今夏以降、再び目立ち始めている。独自に定点観測を続ける地元の自然保護団体は「(繁殖力は)今や完全に回復している。場所によってはこれまで以上に増殖している」と渇水の反動の可能性を指摘。景観や生態系への影響が懸念されるとして環境省や青森県に対し、原因究明に向けた本格的な調査を求める。[br][br] カワシオグサは、大きな群体を形成する藻。毎年、春から見られ始め、夏から秋に成長する。十和田市の「八甲田・十和田を愛する会」の久末正明代表によると、従来は渓流内で見られなかった植物で、2013年に石ケ戸地区で初めて確認された。[br][br] その後も爆発的に増え、現在は渓流全域に分布範囲を広げている。16年の台風による増水や昨年の渇水により一時的に減少した期間もあったが、増殖傾向を示すという。[br][br] 冬は植生が弱くなる時期に当たる。ただ、今年は昨年の今頃、目立たなくなっていた藻が、川底などを覆うのがはっきりと確認できる状態だ。これまで同省や県に対して本格的な調査を訴えてきた久末代表は、「奥入瀬渓流の本来の姿ではない。清流のイメージとはかけ離れてしまう」と景観への影響を懸念する。[br][br] 同省十和田八幡平国立公園管理事務所は、昨年5月から歩道上での藻の見え方について定点調査を行っている。森川久所長は取材に対し、「魚類や水草への大きな影響は今のところ確認されず、状況を見ている」と説明。これに対し、久末代表は「今起きている現象に目を向け、藻の生態や増殖の原因を解明する調査をしてほしい」と求める。景観や生態系への影響が懸念されるカワシオグサ。渓流の川底に目立っていた藻(写真上、2018年11月26日撮影)は、記録的な渇水により、一時的に減少(写真中、19年11月28日撮影)していたが、再び増殖(写真下、20年12月12日撮影)している=十和田市の奥入瀬渓流(久末正明代表提供)