苦戦が続くシーズンを過ごすワッツだが、選手たちは誰も下を向いていない。シューティングガードとポイントガードを担う佐野太一(27)は「勝利に貢献することだけを考えてワンプレー、ワンプレーを粘り強く闘う」と活躍を誓っている。[br] (10日に発行した月刊スポーツマガジンDash12月号から記事をセレクトしてお届けします)[br][br] 滋賀県出身。バスケットボールを始めたのは小学生時代で「両親の影響で自然とボールに触っていた」。高校時代は全国高校総体(インターハイ)と全国高校選手権(ウインターカップ)とも3年間を通じて県予選準優勝止まり。一度も全国の舞台に立てなかったが、プロ入りの夢を胸に日本大に進んで心身を鍛えた。卒業後、Bリーグ1部の滋賀レイクスターズ練習生などを経て2018~19年シーズンからは青森でプレーしている。[br][br] ポジションはシューティングガード(SG)とポイントガード(PG)。ディフェンス力やパスの正確性、ドリブルの能力が求められる。[br][br] 3点シュートなどロングレンジからのシュートや中に切り込むプレーを得意としており、今季開幕当初は、得点を稼ぐSGとして試合に出場。だが、チームはPG陣が手薄だったため、10月の仙台89ERSとのホーム2戦目からはPGを任された。「久しぶりのポジションに不安はあったが、チームのためなら何でもやろうと思った」[br][br] しかし、そう簡単にはいかなかった。11月のライジングゼファー福岡とのアウェー2戦目。強いプレッシャーに押されて「変に試合をコントロールしようとし、隙を突かれてしまった」。相手をドリブルで抜けずパスも読まれた。ミスで相手にボールを渡してしまう「ターンオーバー」はチーム最多の6回に上った。[br][br] 後半は気持ちを切り替えたが、試合は敗れた。「PGの“弱気”はチームに伝染する。常に強気のゲームメイクをしないといけない」と反省する。 最近はコートの状況の的確な把握に努めるとともに、パスの種類や方向を意識した練習にも取り組んでいる。ベンチスタートの試合も増えているが「途中出場し、悪い流れを断ち切る力を持っているから。どんなに悪くても腐らないメンタルがチームにいい影響を与えている」と指揮官・北谷稔行アソシエイトヘッドコーチの信頼は厚い。[br][br] まだ「弱い自分」が顔を出すことがある。そのたびに「強気でいけ」と自らに言い聞かせ、気持ちを奮い立たせる。プレーオフ進出争いに絡んだ昨シーズンから一転、チームは苦しい戦いを強いられているが、伸び盛りの27歳は「勝利に貢献することだけを考えてワンプレー、ワンプレーを粘り強く戦いたい」と巻き返しを誓っている。[br][br] さの・たいち 1993年11月生まれ。27歳。滋賀県大津市出身。東山高(京都)―日本大卒。2018~19年シーズンからワッツに加入し、在籍3年目。177センチ、76キロ。