官製談合防止法違反容疑で3日に逮捕された関和典容疑者(53)は、青森県内で最も人口が少ない西目屋村のトップに39歳の若さで就任し、少子高齢化対策や地域活性化に尽力してきた。4期目を迎え、政治家として円熟味を増してきた現職首長の逮捕に、関係者は「なぜ」「信じられない」と驚きを隠せない様子。世界自然遺産・白神山地の麓の小さな村に動揺が広がっている。[br][br] 関容疑者は、前村長の辞職に伴う2006年2月の村長選で初当選。当時、「日本一若い村長」となり、公約で訴えた「子どもとお年寄りにやさしい村づくり」に向け、子育て支援や若者の定住促進に力を入れていた。17年6月から2年間は県町村会長の要職に就いた。[br][br] 09年は政府の定額給付金、今年5月には新型コロナウイルス対策の特別定額給付金を、全国で初めて支給開始した自治体として注目を集めた。 村のかじ取り役の逮捕に、村内には大きな衝撃が走った。[br] 村内の女性会社員(31)は「会えば気さくにあいさつしてくれる人だった。一生懸命に何でもやっていたのに、なぜそんなことをしたのか分からない」と困惑気味。パート従業員の女性(60)は「若い発想でいろんな施策を展開していた。教育にも力を入れており、子を持つ親として助かっていたのに」と残念がった。[br][br] 村役場では正面入り口に職員が立ち、関係者以外を閉め出した。男性職員は「急なことで混乱している。現時点で報道対応の予定はない。コメントもない」と言葉少なに話した。[br][br] 山間部という地域性が共通し、自治体規模が同程度の田子町の山本晴美町長は「地域の課題などについて話すことがあった。信じられない」と絶句した。 津軽地方のある県議は「村の発展のため、さまざまな施策を頑張っていた」と評価する一方で、「4期目ともなると、“一国一城のあるじ”である首長の権力に溺れたのかもしれない」と推測した。[br][br] 同村を選挙区に含む木村次郎衆院議員=青森3区=にとって、関容疑者は父守男氏、兄太郎氏(故人)が衆院議員時代に秘書を務めた間柄。[br][br] 木村氏は国会内で取材に対し、「報道の範囲でしか分からない。ただびっくりしている」と述べ、「そういう(現職首長の)立場にある者は、襟をたださないといけない」と強調した。