二戸の漆掻き技術、無形文化遺産へ 「伝統建築工匠の技」ユネスコ勧告

全国一の漆の産地・二戸市で漆搔きに取り組む職人=2018年6月
全国一の漆の産地・二戸市で漆搔きに取り組む職人=2018年6月
文化庁は17日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の評価機関が、二戸市の漆搔(か)き技術を含む「伝統建築工匠の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」を無形文化遺産に登録するよう勧告したと発表した。12月14~19日にオンライン開催されるユネ.....
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 文化庁は17日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の評価機関が、二戸市の漆搔(か)き技術を含む「伝統建築工匠の技 木造建造物を受け継ぐための伝統技術」を無形文化遺産に登録するよう勧告したと発表した。12月14~19日にオンライン開催されるユネスコ政府間委員会で正式に登録が決まる見通しだ。[br][br] 対象は漆生産や木工、左官など17分野の技術。瓦屋根やかやぶき屋根、建具や畳の製作のほか、建物の外観や内装に施す装飾や彩色も含まれる。木や草、土といった自然の素材で地震や台風に耐える構造をつくり、奈良・法隆寺に代表される日本の伝統的な建築文化を支えてきたとされる。[br][br] 勧告は、古くから職人や大工の棟梁(とうりょう)らが「弟子を鍛え、知識や技術を伝えてきた」と評価。一方で近代化によって、こうした後継者育成が難しくなっているとして保護の必要性を強調した。屋根ふきなど一部の作業には地域住民が関わることがあり、社会の結束を強める役割も果たしているとした。[br][br] 全て国の「選定保存技術」となっており、日本うるし掻き技術保存会(二戸市)や日本伝統建築技術保存会(大阪府東大阪市)、全国社寺等屋根工事技術保存会(京都市)など14団体が保存団体に認定されている。政府は2019年3月、ユネスコに登録を申請した。正式決定で国内22件目となる。[br][br] 日本うるし掻き技術保存会は、漆搔き技術の継承と漆の生産量確保を目的に1996年1月、会員数25人で設立。同年5月には、文化財の保存に必要な伝統技術で、保存措置の必要があるとして、文化庁から選定保存技術「日本産漆生産・精製」の保存団体に認定された。2020年6月1日現在の会員は50人。[br][br] 主な活動は伝承者の養成や技術の錬磨、漆搔き技術の保存に向けた調査や記録の作成など。20年度までに岩手県内外から計55人の研修生を受け入れている。[br][br] 20年のユネスコ政府間委員会は当初、11月末からジャマイカで行われる予定だったが、新型コロナウイルスの影響で延期され、パリのユネスコ本部と各国をつなぐオンライン開催となった。ユネスコの暫定スケジュールでは、登録審査は12月16、17日に行う。[br][br] これまでの21件は「能楽」や「和食」、八戸三社大祭など各地の祭りで構成する「山・鉾・屋台行事」など。18年には「男鹿のナマハゲ」(秋田県男鹿市)を含む「来訪神 仮面・仮装の神々」が登録された。[br][br] 「伝統建築工匠の技」の次の候補に政府は、豊作祈願や厄払いの踊り「風流踊」を申請した。22年に可否が決まる見込みとなっている。全国一の漆の産地・二戸市で漆搔きに取り組む職人=2018年6月