パラリンピアン大井さん(洋野)に強い味方 50歳差“同志”躍進支える

水中トレーニングに励む大井利江さん(左)をサポートする麥澤栞奈さん=25日、洋野町種市屋内温水プール
水中トレーニングに励む大井利江さん(左)をサポートする麥澤栞奈さん=25日、洋野町種市屋内温水プール
男子砲丸投げで5大会連続のパラリンピック出場を目指す、洋野町の大井利江さん(72)。古希を迎えてもなお躍進を続ける大井さんを影ながら支え続けてきたのが、同町に住む八戸学院大健康医療学部看護学科4年の麥澤栞奈(むぎさわかんな)さん(22)だ。.....
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 男子砲丸投げで5大会連続のパラリンピック出場を目指す、洋野町の大井利江さん(72)。古希を迎えてもなお躍進を続ける大井さんを影ながら支え続けてきたのが、同町に住む八戸学院大健康医療学部看護学科4年の麥澤栞奈(むぎさわかんな)さん(22)だ。大井さんがプールで筋力トレーニングを行う際の補助役を務めており、大井さんも「同志のようだ」と厚い信頼を置く。来春、大学を卒業するためコンビは解消となるが、麥澤さんは「大舞台で活躍してほしい」とエールを送る。[br][br] 2人がタッグを組んだのは約4年前。大井さんが砲丸投げで東京パラを目指す中で、水中トレーニングを行うことを計画し、地元の種市屋内温水プールで水泳教室の指導をする麥澤さんに補助役を依頼した。看護師になる夢があった麥澤さんは、「自分にとっても良い経験」と快諾。以降、週3回の練習を支援しており、好記録の一助となっている。[br][br] 25日に同プールで行った練習では、大井さんの両腕に水中で負荷が掛かる装具をはめ、腰に結んだひもをしっかり握り、トレーニング中に体勢を崩さないようサポート。衰え知らずの大井さんの鍛えられた腕力に「いつも負けてしまって、どんどん後ろに下がる」と苦笑いするが、雑談も交えながら慣れた様子で約30分手助けした。大井さんも「補助役はなかなか引き受けてもらえないものだが、声を掛けて本当に良かった。トレーニングの有無で腕の可動域が全然違う」と感謝しきりだ。[br][br] 大井さんとは50歳の年の差があるが、「冗談も言うし、まるで友人のよう」と頬をゆるませる。加えて「一つの目標に向かって努力を続けるのは難しいことなのに、大井さんは障がいや年齢に負けず、練習に励んでいてすごい」と尊敬のまなざしも向ける。[br][br] 大井さんの頑張りに負けじと、麥澤さんも勉学に励み、大学卒業後は青森市の病院へ就職することが決定。大井さんを補助する経験から「苦痛に寄り添いながら、その人らしい生活が送れるような看護をしたい」と理想の看護師像を描くこともできた。[br][br] 唯一心残りなのは、東京パラが来夏へ延期になったことで、大会直前まで練習につきあえないこと。それでも、残りの時間で後継者を探しながら、精いっぱいのサポートをするつもりだ。「パラでは1位を取ってほしい。活躍をテレビや新聞で知れたらいいな」と話す麥澤さんに、大井さんも笑顔でうなづいた。水中トレーニングに励む大井利江さん(左)をサポートする麥澤栞奈さん=25日、洋野町種市屋内温水プール