障害者にスポーツの場を 十和田にクラブ設立

「十和田バスク」でサッカーを楽しむ参加者ら=10月中旬、十和田市
「十和田バスク」でサッカーを楽しむ参加者ら=10月中旬、十和田市
十和田市に本年度、市内で唯一の障害者のためのスポーツクラブ「十和田VSEC(バスク)」が設立された。障害者は日常的に団体スポーツに取り組める機会が少ないといい、その場を提供したいという関係者の思いで実現した。クラブではサッカーをメインに、月.....
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 十和田市に本年度、市内で唯一の障害者のためのスポーツクラブ「十和田VSEC(バスク)」が設立された。障害者は日常的に団体スポーツに取り組める機会が少ないといい、その場を提供したいという関係者の思いで実現した。クラブではサッカーをメインに、月一回教室を開催。坂本響代表(24)は「スポーツは誰でも参加でき、感動を共有できるもの。障害者もみんなで汗をかける場が必要」と設立の意義を強調し、将来的には障害の有無の垣根を超えた活動を目指す考えだ。[br][br] 設立のきっかけは、クラブ副代表の中尾利香さん(62)=同市=の「息子にチームの喜びを分かち合ってほしい」という願いから。中尾さんの長男光希(こうき)さん(24)は小学1年の時に病気で知的障害を負ったが、低学年のころは健常者と一緒にサッカーに取り組んだ。ただ、成長するにつれ、知的面の遅れや体力面から他の子どもたちについていくのが難しくなり、諦めざるを得なかった。代わりに水泳や合気道を習わせたが、差別やいじめもあり、長く続かなかった。[br][br] 中尾さんは昨年末、市内の社会福祉法人の関係者に、「障害者が仲間と一緒に運動できる環境をつくれないか」と長年の思いを相談。法人側が市内でサッカークラブなどを運営する「セライオコミュニケーションズネットワーククラブ」に協力を打診すると、セライオ側も賛同した。[br][br] 今年2月、セライオのスタッフを先生役に、試しに開いた障害者のためのスポーツ教室は、参加者や保護者から好評だった。[br][br] セライオ専務でもある坂本代表は、生き生きと体を動かす参加者の姿に、継続的に教室を開催する仕組みづくりが必要と実感した。[br][br] ついに4月に十和田バスクが発足。「VSEC」は、フランス語とスペイン語の単語の頭文字を取った造語で、クラブがキーワードに掲げる「つながり(vinculo)」「共生(symbiose)」「存在(existence)」「仲間(companero)」からなる。[br][br] 設立後は、新型コロナウイルスの影響で活動できない時期が続いたが、7月にようやく始動。参加は会費制ではなく、気軽に参加できるよう1回につき1家庭千円とした。多い時で同市や七戸町から20人ほどが集まるという。[br][br] 坂本代表は「まずは活動を広く知ってもらい、将来的には障害者と健常者、全ての人が一緒にスポーツを楽しめるクラブにしたい」と展望を語る。[br][br] 活動は、市屋内グラウンド「こまかいどーむ」で実施している。問い合わせは、坂本代表=携帯電話080(2819)9655=へ。「十和田バスク」でサッカーを楽しむ参加者ら=10月中旬、十和田市