【交付金要件変更】関係者が国に怒りの声 既に設備投資した農家も

収穫したゴボウを見つめながら、支援交付金の要項変更に憤る甲地武彦さん=22日午後1時50分ごろ、東北町細津橋ノ上 
収穫したゴボウを見つめながら、支援交付金の要項変更に憤る甲地武彦さん=22日午後1時50分ごろ、東北町細津橋ノ上 
農林水産省が高収益作物次期作支援交付金の運用を見直したことについて、申請を見込んでいた北奥羽地方の農家は「当初から見通しが甘過ぎる」「手続きを含めて無駄な手間になった」などと怒りの声を上げている。交付を見越して既に設備投資を行った生産者もお.....
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 農林水産省が高収益作物次期作支援交付金の運用を見直したことについて、申請を見込んでいた北奥羽地方の農家は「当初から見通しが甘過ぎる」「手続きを含めて無駄な手間になった」などと怒りの声を上げている。交付を見越して既に設備投資を行った生産者もおり、関係自治体は「やる気のある農家を応援しようという趣旨から懸け離れている」と戸惑いを隠せない。[br][br] 「農家をばかにするな」―。東北町の農家甲地武彦さん(64)は、国の急な方針転換に憤りを隠せなかった。自身はゴボウやナガイモなどを栽培しており、今回の交付金では約800万円分を申請予定だった。[br][br] 昨秋から今春にかけて、ゴボウは豊作や新型コロナウイルスの影響もあって、厳しい値動きとなった。周囲の農家は廃棄が出そうなほどの「豊作貧乏」。そんな時、国から“朗報”が届いた。「良くなかった分、少しでも収入の上乗せになれば」。助かった思いがした。[br][br] 申請手続きは慣れない作業ばかり。畑の写真、営農計画書…。普段は手に取らないような資料も準備する必要があった。農繁期の9月は手続きに数日を使うのも惜しかったが、「『頑張っている農家を応援する』という国の触れ込みを信じて申し込んだ」。[br][br] だが、同省の突然の要件変更に伴って、減収確認なども必要になった。このままでは交付金が大幅に減額され、中には対象にならない農家も出てくる可能性が出てきた。「交付金をくれると期待だけさせて、ほぼ来ないも同然だ」と不信感を募らせている。[br][br] 六ケ所村農業委員会会長の石久保斉さん(63)はナガイモやニンジンなどを作付け、1500万円分の申請を予定していた。当初から「金額的に申請が多くなりそうな要件で、本当に国は支払えるのか」との疑念はあったが、それでも国が実行すると強調したため、村の担当課と協力して地域の農家に申請するよう呼び掛けていた。[br][br] それだけに、国の方針転換には納得できないでいる。「農家を愚弄(ぐろう)するような変更で、意欲を失わせるものだ。国民に理解されないというなら、最初から制度がおかしかっただけのこと。説明になっていない」と吐き捨てるように語った。[br][br] 農業が盛んな自治体では、農業担当者が困惑している。ある町村の担当者は「要件変更に関わる手続きの煩雑さも含め、国から農家にしっかりと説明してほしい」と訴えている。収穫したゴボウを見つめながら、支援交付金の要項変更に憤る甲地武彦さん=22日午後1時50分ごろ、東北町細津橋ノ上