故向山先生の功績後世に 三戸高OB有志が団体設立へ

「向山満先生の活動をつないでいきたい」と話す、三戸高自然科学部OBの佐藤昭弘さん(左)と下村太平さん。手前は部誌「PAULOWNIA」=11日、三戸町 
「向山満先生の活動をつないでいきたい」と話す、三戸高自然科学部OBの佐藤昭弘さん(左)と下村太平さん。手前は部誌「PAULOWNIA」=11日、三戸町 
コウモリ研究の第一人者として知られた故向山満氏(2012年死去)が長年指導し、専門的な活動が全国的に高い評価を受けた青森県立三戸高自然科学部。そのOB有志が年内に、向山氏の功績と活動を後世に伝えていく団体「PAULOWNIA(パウロウニア).....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 コウモリ研究の第一人者として知られた故向山満氏(2012年死去)が長年指導し、専門的な活動が全国的に高い評価を受けた青森県立三戸高自然科学部。そのOB有志が年内に、向山氏の功績と活動を後世に伝えていく団体「PAULOWNIA(パウロウニア)の会」を立ち上げる。まとめて閲覧することが難しかった25冊の部誌を収集して公開するほか、町周辺の自然研究にも着手。高校との連携も目指しており、関係者は「先生が作ってくれた基礎を受け継ぎ、活動の輪を広げたい」と意気込んでいる。[br][br] 向山氏は1965年、新採用の生物教師として三戸高に着任し、2003年の定年まで40年近く同高の教壇に立った。自然科学部を率いて町周辺の生物研究にも取り組んだほか、八戸野鳥の会会長なども歴任。12年11月、コウモリの生態調査のために入った秋田県の山中で谷に滑落し、70歳で亡くなった。[br][br] 部の活動報告として1969~93年に年1回発行されたのが部誌「PAULOWNIA」だ。同高の校章にある「桐」の学名から名付けられ、生物や気象、天文などさまざまな分野の研究を発表。向山氏も論文を掲載しており、研究内容の変遷をうかがい知ることができる。[br][br] 「当時は生物でもほ乳類や鳥類、昆虫など多くの班があって、好きなことを自由に研究していた。城山公園に泊まり込んで調査することもあったよ」と振り返るのは、81年度に部長を務めた佐藤昭弘さん(57)。自身は鳥の一種「ウソ」の生態研究で全国的な賞を受賞しており、部誌に論文が掲載されている。[br][br] 「地域の自然や生態を知るための基礎資料として公的機関に引用されることもあった」(佐藤さん)という部誌。ただ、一そろいが収蔵されているのは国立国会図書館だけで、地元ではまとめて閲覧することができない状態になっていた。[br][br] OB有志は向山氏の七回忌の直後で、創刊50周年にあたる2019年を目標に収集を開始。一年遅れとなったが、ようやく全冊がそろい、「PAULOWNIAの会」の発足へ動き出した。[br][br] 同会の活動には、将来的に統廃合が危惧される同高の存続を応援する意味も込められている。佐藤さんは「部誌は地元商店街の寄付を使って発行することができた。高校と地域が一体となって活動する雰囲気を高められたら」と話す。[br][br] また、1988年度の部長、下村太平さん(50)は「部誌が発行されなくなって25年以上たち、町周辺の生態も変わっている。有志によって再び研究を進めたい」と意欲を見せる。成果は同会のホームページで発表する方針だ。[br][br] 部誌25冊分のデータは同高と町立図書館のほか、県立図書館、郷土館に寄贈予定。今後、同会と同高のホームページでも公開する「向山満先生の活動をつないでいきたい」と話す、三戸高自然科学部OBの佐藤昭弘さん(左)と下村太平さん。手前は部誌「PAULOWNIA」=11日、三戸町