新型コロナで注目のエクモ 医療従事者の育成急務

医療従事者が集まり、エクモ治療の操作方法などを学んだ研修会=8月22日、青森市(橋場英二准教授提供)
医療従事者が集まり、エクモ治療の操作方法などを学んだ研修会=8月22日、青森市(橋場英二准教授提供)
新型コロナウイルス感染症の治療で使用される体外式人工心肺装置「ECMO(エクモ)」が注目を集めている。心臓と肺の役割を同時に果たし、重症患者を救命する“最後の砦(とりで)”とされるが、管理や操作方法が難しく、肺炎治療の目的で使用経験がある医.....
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 新型コロナウイルス感染症の治療で使用される体外式人工心肺装置「ECMO(エクモ)」が注目を集めている。心臓と肺の役割を同時に果たし、重症患者を救命する“最後の砦(とりで)”とされるが、管理や操作方法が難しく、肺炎治療の目的で使用経験がある医療従事者は少ないのが現状だ。青森県内の医療関係者は「感染拡大に備え、装置を使える医療従事者を増やす必要がある」と指摘。現場スタッフの「チーム医療」も重要で、治療に関わる医師や看護師、臨床工学技士の養成が急務となっている。[br] エクモは静脈から血液を引き出し、酸素を供給してから体へ戻すことで肺の機能を代行。患者自身の肺を休ませて回復につなげる装置だ。[br] 治療に関わる医師らが有志でつくる組織「日本COVID―19対策ECMOnet(エクモネット)」のメンバーで、弘前大医学部付属病院集中治療部の橋場英二准教授によると、一般的に心臓手術時など心臓と肺を補助するため、活用している。[br] 一方、新型コロナによる重症肺炎など呼吸器不全の治療では利用が少ない。同病院では19年にエクモを利用した治療全28件のうち、わずか2件にとどまる。[br] 同病院臨床工学部の後藤武技士長は「重症肺炎の治療は長期にわたるため、合併症のリスクも大きい」と説明。血液が凝固しないようにする薬の投与により脳出血や、管が抜けると失血死の危険性も高まる。管理や操作方法が難しい装置でもある。[br] エクモネットは治療に対応できる人材育成に向け、8月22日、県立中央病院で厚生労働省の事業を受託して研修会を開催。県内からはエクモを保有する八戸市民病院やむつ総合病院、県病、弘前大医学部付属病院の4病院、7チームが参加した。[br] 臨床場面を想定したシナリオトレーニングに加え、機器を使ったトラブル時の対処法などを実践。参加者は「今回の研修で改めて分かったこともあり、対応を練り直したい」「経験が少ないので、今後の診療の役に立つ」などと充実した表情を見せた。[br] 橋場准教授は「重症患者の発生時には、チーム内や各病院同士の早めの連携が重要になる」と強調。後藤技士長は「チームの総合力が試される。綿密なコミュニケーションを取り、救える命を救っていきたい」と語った。医療従事者が集まり、エクモ治療の操作方法などを学んだ研修会=8月22日、青森市(橋場英二准教授提供)