【連載・コロナと共に~変わる価値観~】(2)「働き方」

新しい働き方について語る神田潤一氏=東京都港区のマネーフォワード本社
新しい働き方について語る神田潤一氏=東京都港区のマネーフォワード本社
感染拡大が続く新型コロナウイルスは、国内の多くの企業の働き方を激変させた。人と人との接触をできるだけ避けるため、テレビ会議システムなどを使ったリモートワークが徐々に浸透。新しい働き方に対応するには何が重要な鍵を握るのか。金融やITに詳しいマ.....
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 感染拡大が続く新型コロナウイルスは、国内の多くの企業の働き方を激変させた。人と人との接触をできるだけ避けるため、テレビ会議システムなどを使ったリモートワークが徐々に浸透。新しい働き方に対応するには何が重要な鍵を握るのか。金融やITに詳しいマネーフォワード(東京)執行役員の神田潤一氏(49)に聞いた。[br][br] ―リモートワークの普及を受けて働き方はどう変わるべきか。[br] 企業側と働く人側の両方の観点で考える必要がある。企業は、出勤による感染への不安など社員一人一人の気持ちに向き合った上で、精神状態や家族の状況に応じた働き方を提案し、十分能力を発揮できる環境を提供することが大事になる。新型コロナウイルスは命に関わる問題。多様な働き方を許容できる会社でなければ、どんなに優秀な会社でも人材を獲得できない状況になるだろう。[br] 一方、働く人はこれまで以上に能力や成果で評価される。朝から夕方まで職場にいればいいという発想ではなく、成果を求められる中でミッションをしっかり遂行できるかどうか。「自由と自律のバランス」「多様性の背後にある責任」を意識すべきだろう。[br][br] ―変化に対応する心構えは。[br] そもそも、変化とは善しあしに関係なくほとんどの場合はストレスとして認識される。受け身で捉えて弊害ばかりに目を向けていると余計にストレスが強まる。こうした特徴を意識し、むしろメリットに積極的に目を向けることが大事だ。ポジティブな面に目を向けて自分を近づけていく意識を持つことで、だいぶ変わるのではないか。[br][br] ―新しい働き方を定着させるための鍵は。[br] まずは職場と同等以上の環境を整えること。クラウドでデータを共有し、皆がそれを参照しながら仕事を進めることができる環境整備が必要になる。新型コロナを受け、IT化やオンライン化のスピードは5年から10年早まった。5年後、10年後が今来たとすれば何をやらねばならないのか。それらに対する投資という視点で考えるべきだろう。[br] ただ、例えばオンライン会議は道筋が見えている議論だと効率的に進む一方、ゼロからの議論や新しいアイデアを出し合う場合、表情の変化や場の空気感が重要になる。意識的に指名するなどの工夫や通常と違う意識づけが必要だ。[br][br] ―国はどう後押しすべきか。[br] 行政手続きがオンラインで完了するような制度、「はんこ文化」の見直しなどを積極的に進めていくべきだ。さらには、新型コロナを受けて多様な働き方が認められていく中、中央から地方に引っ越して働く人が増える流れが強まっていくだろう。転職しても安心して暮らせる社会保険や年金などの仕組みを整備することも大事だ。[br] 今回で中央一極集中のリスクが認識された。地方への分権や分散を進めていく施策を着実に進めることも大事な視点。将来に対する投資という視点で、この危機に応じてIT化や効率化、地方分散を進めていくチャンスでもある。新しい働き方について語る神田潤一氏=東京都港区のマネーフォワード本社