「負けない。」即席合唱団、喜び歌声に 山本さん(八戸)企画 合唱公開練習

「みんなで歌を楽しむ場を作りたい」との思いから合唱の公開練習を企画した山本和也さん=16日、八戸市
「みんなで歌を楽しむ場を作りたい」との思いから合唱の公開練習を企画した山本和也さん=16日、八戸市
8月中旬の週末の昼下がり。9人の即席合唱団が八戸市三日町のはっちで、“サプライズ”の歌声を響かせ、美しいハーモニーで来館者を魅了した。企画の仕掛け人は、大学時代から合唱に打ち込んできた八戸市の会社員山本和也さん(39)。新型コロナウイルスの.....
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 8月中旬の週末の昼下がり。9人の即席合唱団が八戸市三日町のはっちで、“サプライズ”の歌声を響かせ、美しいハーモニーで来館者を魅了した。企画の仕掛け人は、大学時代から合唱に打ち込んできた八戸市の会社員山本和也さん(39)。新型コロナウイルスの影響で、市民の文化活動が制限されていることを受け、合唱の仲間を募り、練習を公開する今回のイベントを思い立った。みんなで歌を気軽に楽しむ場を作りたい―。夢への一歩を踏み出した。[br] 同市出身で、高校までサッカー一筋。青森県外の大学に進学した際、「サッカーできるよ」との言葉に誘われ、入ったのが合唱サークルだった。中学時代に校内の合唱コンクールで歌った程度の経験しかなかったが、大学卒業後もOBとしてコンサートに出演するほどのめり込んだ。[br] 2年前にUターン。地元での活動を模索していたところに、新型コロナの猛威が襲った。市内から次々と歌声が消え、「このままでは歌う文化が廃れてしまう」という危機感を覚えた。[br] 「いつか合唱団を結成したいと思っていた。それは今かもしれない」。夢をかなえたいという思いが強くなる一方、感染リスクを心配する市民の批判を受けるかもしれないという不安にも悩んだ。自問自答を繰り返し、今回のイベント開催へ向けた準備を進めた。[br] 6月からインターネットを中心に情報を発信。合唱指導をソプラノ歌手の山崎由佳さん(六ケ所村)とピアニスト佐藤慎悟さん(八戸市)が務めることになった。[br] 迎えた本番当日の16日、はっち1階のホールに集まったのは男性3人、女性6人の計9人。マウスシールド着用やそれぞれの距離を十分に開けるなど感染予防策を講じながらの練習となったが、人前で披露できる喜びを表すかのように、力強い歌声を響かせた。最初は驚いた様子だった来館者からは、合唱を終えると「ブラボー」の声とともに大きな拍手が送られた。[br] 会場にはホワイトボードを設置し、参加者に感想をつづってもらった。「一緒に歌える仲間がいるってすごい」「やっぱりコーラスは楽しい」。思いが同じだったことがうれしかった。[br] この日は、様子を見ていた男性が飛び入りで練習に参加する場面もあり、勇気をもらった。「自分のやりたいと思っていたことが実現したようだった。これからも合唱の輪を広げていきたい」。歓声の余韻が残るホールで久しぶりに味わう充実感をかみしめた。[br] イベントはこれからも継続するつもり。次回は9月22日にはっちで開催予定だ。「みんなで歌を楽しむ場を作りたい」との思いから合唱の公開練習を企画した山本和也さん=16日、八戸市