三沢市は5日、昨年度策定した三沢漁港への津波襲来に備えた漁船避難(沖出し)ルールを公表した。漁業者が地震発生時の居場所や状況に合わせて自ら判断し行動することを基本に、気象庁発表の予想される津波の高さ、漁港に着いた時点で津波が到達するまでの残り時間などに応じて、避難海域を考えるほか、沖出ししないとの決断ができるように指針や注意点を定めた。同日は市漁民研修センターで漁業者約15人に内容を説明。万が一の場合に命と漁船を守るため、漁業者が主体的に考えたルールを活用するよう呼び掛けた。[br] 市は昨年度、4回の漁業者ワーキンググループや実証試験を行い、漁業者や片田敏孝・東京大大学院情報学環特任教授らの意見を反映させて、避難ルールを策定。漁業者に公表する機会を検討していたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で遅れていた。[br] ルールは、漁業者が陸上にいる時と、海上にいる時の2種類。[br] 陸上滞在時については、津波警報が出て、漁港での残り時間が30分以上ある場合は、水深50メートル以上の海域へ避難する。大津波警報発令時、津波の高さが5メートルで残り時間が50分以上、または10メートルで90分以上の場合は、さらに沖合を目指す。[br] 一方、大津波警報が出て、津波の高さが「巨大」または10メートル超の場合は、避難中に津波に出合う可能性が高いため沖出しをしない。[br] 海上滞在時に関しては、沖合へ移動するか、漁港に戻り高台へ避難するかは、状況に応じて速やかに自己判断。その上で、津波警報発令時は水深50メートル以上の海域に、大津波警報発令時はさらに沖合へ避難する。[br] 同日、青森県外からリモート参加した片田特任教授は「東日本大震災の教訓を生かし、安全と船を守るためにルールを検討してきたと思う。いざという時に役立ててほしい」と訴えた。