絵画で広がる世界 自閉症の和田さん(八戸)が初個展/仲間との交流も励みに

安藤清一さん(左)のアドバイスをもらいながら絵画に没頭する和田彰史さん=10日、八戸市
安藤清一さん(左)のアドバイスをもらいながら絵画に没頭する和田彰史さん=10日、八戸市
絵画で自分の世界を広げたい―。八戸市の和田彰史(あきふみ)さん(43)は、自閉症の壁をものともせずに絵画に打ち込んでいる。和田さんの作品は、緻密な表現でありながら、常識にとらわれない大胆な構図や色使いが特徴。絵画は和田さんにとって自分を表現.....
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 絵画で自分の世界を広げたい―。八戸市の和田彰史(あきふみ)さん(43)は、自閉症の壁をものともせずに絵画に打ち込んでいる。和田さんの作品は、緻密な表現でありながら、常識にとらわれない大胆な構図や色使いが特徴。絵画は和田さんにとって自分を表現すると同時に多くの人との出会いと交流をくれる、かけがえのない存在だ。現在、同市三日町のさくら野で初の個展を開催しており、和田さんは「もっとたくさんの絵に挑戦してうまくなりたい」と意欲を燃やす。[br] 子どもの頃から絵を描くのが好きだった。小中学校は特別支援学級に通い、高校は青森県立八戸第二養護学校高等部(2017年に県立八戸高等支援学校に分離移転)に進学。卒業後、同市の漁業会社「ヤマツ谷地商店」に就職した。[br] 仕事が終わった後や休日の楽しみが絵画だ。毎日スケッチブックを持ち歩き、思い立ったらデッサンに没頭。時には図鑑の写真を基に、細部までじっくりと観察して緻密に模写するなど、納得がいくまで描き続ける。[br] そんな中、14年に母親の勧めで、市美術館で行われた絵画教室に初めて参加。イーゼルにキャンバス、油彩、水彩の絵の具を使った本格的な絵画教室で、画家の安藤清一さんらに師事するようになってから和田さんの世界はどんどん広がっていった。[br] 我流で楽しんでいた頃とは異なり、たくさんの仲間と共にキャンバスを並べてモデルの女性を描いたり、構図を工夫したり―。今まで以上に多くのことを学び、仲間と交流できることが励みになっていった。「自分が描きたいと思ったことを描ける瞬間がうれしい」。ひとたび筆を執るとすさまじい集中力で筆を走らせる。[br] 和田さんの型にはまらない表現に可能性を感じているという安藤さんは「飾らない自分を素直に表現できるのは誰にでもできることではない。感性を打ち出した絵画は生き生きとしている」と高く評価。和田さんも安藤さんも障害の垣根を越えて共に絵を描く楽しみを分かち合えることに喜びを感じている。[br] 和田さんは人物画を得意としているが、挑戦してみたいテーマはまだまだたくさんある。「風景画やえんぶり、ねぶたなど祭りの絵も描いてみたい」と絵画への情熱は尽きない。[br] 個展は、さくら野地下1階の喫茶店「みな実」で8月31日まで開催。時間は午前10時から午後6時。安藤清一さん(左)のアドバイスをもらいながら絵画に没頭する和田彰史さん=10日、八戸市