どうなる「ジュノハート」全国デビュー コロナ禍で戦略見直し必至、生産者戸惑い/南部

ジュノハートの全国デビューの先行きを案じつつ農作業に励む山本又一さん=8日、南部町下名久井
ジュノハートの全国デビューの先行きを案じつつ農作業に励む山本又一さん=8日、南部町下名久井
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、本年度予定している青森県独自のサクランボ新品種「ジュノハート」の全国デビューの先行きが見通せない状況となっている。主要な売り先である首都圏の百貨店が休業を続け、日本経済全体が停滞ムードの中、県は予定通り県.....
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 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、本年度予定している青森県独自のサクランボ新品種「ジュノハート」の全国デビューの先行きが見通せない状況となっている。主要な売り先である首都圏の百貨店が休業を続け、日本経済全体が停滞ムードの中、県は予定通り県外出荷を行う方針だが、発売イベントを含めた販売戦略の見直しは必至な状況。昨年の県内プレデビューで手応えを感じていた生産者や産地の自治体も戸惑いを隠せず、販売動向に気をもんでいる。[br] 県総合販売戦略課によると、現段階で発売イベントは東京、大阪両都市の百貨店で行い、三村申吾知事も出席する予定。しかし、会場となる百貨店は新型コロナの感染防止で休業しているため、打ち合わせができていないのが現状だ。[br] 同課の齋藤直樹課長は「イベントや販売の仕方について、今後どうなるかはまだ分からない。政府の方針に合わせて対応しないといけないので、今は何も判断できない」と険しい表情。今後、首都圏の百貨店の営業状況を把握しながら、イベントを中止せざるを得なくなった場合の代替案について話し合う。[br] 販売時に密集、密接など感染リスクが高まる「3密」を起こさないよう、消費者の感染対策も検討する方針。齋藤課長は「かつてない事態だが、消費者へジュノハートがちゃんと手に届くよう準備を進めていけるようにしたい」と力を込める。[br] 約130人の生産者を抱える最大の産地・南部町は農家の収入を守ろうと、独自の対策を探っている。大々的なPRが難しい状況を踏まえ、本格的な全国デビューは来年度になると見込んでおり、今年はふるさと納税の返礼品としての取り扱いを増加させる方向で調整している。担当者は「世の中が混乱している中、イメージ戦略の失敗は許されず、今年はひっそりとやるしかない」と慎重姿勢だ。[br] 一方、果樹農家は収穫に向け、本格的な作業に入っている。[br] 「約40年農家をやってきて、こんなに先が見えない春は初めて。本当に首都圏の店で取り扱ってもらえるのか、何もかも予想がつかないよ」[br] 同町おうとう「ジュノハート」ブランド化推進委員会の会長を務める同町下名久井の山本又一さん(60)は8日、受粉が終わった園地を見回りながらため息をついた。普及当初に導入した木が順調に成長し、全国デビューに合わせて大玉の収穫が予定されているだけに、終息が見えないコロナ禍への嘆きは深い。[br] それでも高品質を追求する熱意は失われていない。「求められた時に最高の状態で出荷できるよう、手を抜かずできることをやる。あとは運に任せるしかない」と前を向いた。ジュノハートの全国デビューの先行きを案じつつ農作業に励む山本又一さん=8日、南部町下名久井