【震災9年】三陸鉄道、完全復活へ 中村一郎社長インタビュー

全線再開に向けた思いを語る中村一郎社長(右)。中央は駅務係の千代川らんさん、左は運転士の古舘龍太さん(左)=5日、盛岡市
全線再開に向けた思いを語る中村一郎社長(右)。中央は駅務係の千代川らんさん、左は運転士の古舘龍太さん(左)=5日、盛岡市
岩手県沿岸部に記録的豪雨をもたらした昨年の台風19号による苦難に負けず、急ピッチで完全復活を目指す三陸鉄道(本社・岩手県宮古市)。14日の久慈―普代間、20日の全線での運行再開を前に、同社の中村一郎社長が本紙取材に応じ、台風の被害や復旧作業.....
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 岩手県沿岸部に記録的豪雨をもたらした昨年の台風19号による苦難に負けず、急ピッチで完全復活を目指す三陸鉄道(本社・岩手県宮古市)。14日の久慈―普代間、20日の全線での運行再開を前に、同社の中村一郎社長が本紙取材に応じ、台風の被害や復旧作業を振り返りながら、“再出発”に向けた思いを語った。[br][br] ―台風での被害は甚大だった。[br] 台風襲来の翌日(昨年10月13日)に被害を確認すると、路盤の流出やのり面の崩壊などによって全体の約7割が不通になり、非常に落ち込んだ。通勤や通学、病院や買い物に行くためなどに利用してくれる住民にとってはなくてはならない交通手段。当時、社員一人一人が一刻も早く復旧させなければ―という思いを持っていた。[br][br] ―約5カ月で全線の復旧作業にこぎ着けた。[br] 2011年3月の東日本大震災では復旧に約3年の時間を費やした。台風19号も被害箇所が多く、被害額も総額で20億円に上り、当初は1年以上かかるのではと予測していた。[br] しかし、国と県、沿線市町村から支援を受けられるほか、複数の工事業者の助けにより、複数箇所の作業を同時に進められたのが短期間での復旧につながった。全国の皆さんから義援金や励ましの声を頂いたのも大きな力になった。[br][br] ―久慈―普代間の再開まで1週間だ。[br] 大沢橋梁きょうりょうや安家川橋梁などの美しい景観があり、青森県南地域からの利用客も含め、多くの観光客に楽しんでもらっている。春を迎えると地域ごとの景色が一層美しくなる。沿岸が再び一本でつながった際には南までも足を運んでほしい。[br][br] ―全線の再開後に向けた取り組みは。[br] 昨年3月23日に「リアス線」としてスタートした矢先の災難となったが、1周年の節目で再開できてほっとしている。あいにく、新型コロナウイルスの影響で団体客の入り込みは厳しい状況が続くかもしれないが、三鉄を応援してくれる方々の期待に応えられるよう、頑張りたい。[br] 昨年の三陸防災復興プロジェクトで行ったプレミアムランチ列車や夜行列車を今年も企画したい。多くの皆さんに三陸沿岸の魅力を体験してもらい、喜んでもらえるよう取り組む。全線再開に向けた思いを語る中村一郎社長(右)。中央は駅務係の千代川らんさん、左は運転士の古舘龍太さん(左)=5日、盛岡市