【超高齢社会の先へ】多忙極める介護施設

車いすのメンテナンス(写真上)やベッドメーキングをする専任スタッフ。介護士と共に利用者の生活を支えている=1月22日、八戸市市川町の特養施設「寿楽荘」
車いすのメンテナンス(写真上)やベッドメーキングをする専任スタッフ。介護士と共に利用者の生活を支えている=1月22日、八戸市市川町の特養施設「寿楽荘」
介護現場の業務は食事や入浴、排せつ介助に加え、シーツ交換や洗濯、清掃、食事の準備や片付け、入れ歯洗浄など多岐にわたる。しかし、全ての仕事を介護士が担うのは難しい。介護施設では分業をするなどの工夫を凝らし、多職種のスタッフが連携してきめ細やか.....
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 介護現場の業務は食事や入浴、排せつ介助に加え、シーツ交換や洗濯、清掃、食事の準備や片付け、入れ歯洗浄など多岐にわたる。しかし、全ての仕事を介護士が担うのは難しい。介護施設では分業をするなどの工夫を凝らし、多職種のスタッフが連携してきめ細やかな介護を提供している。[br]   ◇   ◇[br] ベッド数が多く施設も広い寿楽荘では、スピーディーな作業が求められる。スタッフは、利用者が食事をしている間に素早くシーツ交換を行う。それに伴い洗濯物も大量に出るため、洗濯室はフル稼働だ。その他、車いすの修繕や施設管理業務もある。こういった「裏方」の仕事を担うのは介護士以外のスタッフだ。[br] 男性介護士は「かつては全て介護士の仕事だったが、今は要介護度が高い利用者が多く、介護は高度かつ複雑化している」と現状を語る。そのため同施設では清掃や用務の専任スタッフを雇用し、介護士の負担を軽減。障害者雇用で採用された職員も活躍している。[br] 介護士の仕事をサポートする「介助員」の存在も大きい。食事時間は特に誤ご嚥えんの危険性も高いため、多くのスタッフで見守ることでリスクを軽減する。頼りになるのは「人の目」だ。[br]   ◇   ◇[br] 看護師や管理栄養士ら専門職も欠かせない存在だ。[br] 看護師は利用者の体調や処方薬の管理に加え、チューブやカテーテルで直接胃や腸に栄養を注入する「経管栄養」の利用者のたん吸引を行うなど医療的な側面から利用者を支える。[br] 毎日の献立を決めるのは管理栄養士の仕事。栄養バランスはもちろん、具材を細かく刻む「刻み食」、かまずに食べられる「ミキサー食」など、利用者一人一人に合わせた食形態を用意する。同施設の管理栄養士は「食べやすさ重視。固いものや、ぱさぱさした食感のものは特に注意している」といい、例えば揚げ物はソースを絡めてしっとりした状態で提供するなどの工夫をしているという。[br]   ◇   ◇[br] 日中は多くのスタッフでケアを行うのに対し、夜間は少数の介護士だけで全てに対応しなければならない。夜勤の女性介護士は「自分なりのペースで業務ができるので気は楽」と話しつつも、「日中はみんなでカバーし合えるが、転倒など事故があったときは気がめいる」と不安をこぼす。[br] スタッフが多い時間帯に、できる限りケアを終わらせようと利用者をせかすこともあるといい、女性介護士は「施設が利用者に合わせるのではなく、施設のスケジュールに利用者を当てはめてしまっている状況に葛藤を感じている」と複雑な心境を語る。[br] 介護士がゆとりを持ってケアを実践するには、分業化や業務の効率化に加え、介護士不足の解消が課題といえる。車いすのメンテナンス(写真上)やベッドメーキングをする専任スタッフ。介護士と共に利用者の生活を支えている=1月22日、八戸市市川町の特養施設「寿楽荘」