100年前の大太鼓、令和に響かせて 中居林大神楽、三社大祭へ意気込み

中居林大神楽が使用する1919年に制作された大太鼓(左)。八戸三社大祭本番では100年前の響きを観衆に届ける=23日、八戸市
中居林大神楽が使用する1919年に制作された大太鼓(左)。八戸三社大祭本番では100年前の響きを観衆に届ける=23日、八戸市
開幕まであと2日となった青森県南地方最大の夏祭り・八戸三社大祭で、長者山新羅神社の行列に参加する中居林大神楽。獅子頭の勇壮な舞を引き立てる軽快なお囃子の中心を担う大太鼓は1919年に制作され、今年でちょうど100年の節目を迎える。丁寧に磨き.....
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 開幕まであと2日となった青森県南地方最大の夏祭り・八戸三社大祭で、長者山新羅神社の行列に参加する中居林大神楽。獅子頭の勇壮な舞を引き立てる軽快なお囃子の中心を担う大太鼓は1919年に制作され、今年でちょうど100年の節目を迎える。丁寧に磨き上げられ、独特の存在感を放つ大太鼓は、時代の変遷とともに代々受け継がれてきた神楽の誇りそのもの。本番では、今も昔と変わらぬ重みのある豊かな響きを、多くの観衆に届けるつもりだ。[br] 同市中居林地区の安寧や繁栄を願うことを目的として、明治時代初期に始まったと伝えられる同神楽。1892年からは三社大祭に参加。赤く大きな顔の獅子頭は、観客の頭をかんで厄払いをしながら練り歩くことで、祭りの中でも根強い人気を持つ神楽の一つとなっている。[br] 親方を務める中居信明さん(63)らによると、大太鼓は祭り期間などを除いて、奉納されている中居林天満宮に保管している。しかし、1918年に本殿が全焼し、お囃子はやしの要でもある大太鼓も焼損した。[br] ただ、当時の神楽メンバーは、ショックでうなだれることなく、すぐさま盛岡の職人に制作を依頼。今に伝わる大太鼓が復活を果たした。大太鼓の胴体部分には「大正八年五月」と制作された時期が刻まれており、先輩神楽士ら14人の名前も記されている。[br] 大太鼓は定期的に皮を張り替え、胴体を塗り直すなど管理を徹底。見た目には100年前に制作されたとは思えないほどで、神楽士らが大事に扱ってきた様子がうかがえられる。[br] 中居さんは「神楽の誰よりも年を取っているんだもんな」と感慨深げ。「これからも大事にして、次の代につなげていかなくては」と決意を新たにする。[br] 練習場所となる同市中居林の中居林屯所では23日、メンバー10人が集まり、本番当日を見据えた練習を実施した。笛や手平がねの音色に、獅子頭のゆったりとした見事な演舞―。伝統と歴史を持つ大太鼓の重厚な音に導かれるよう、それぞれの持ち味が存分に引き出されていた。[br] 先代たちの思いや努力が染みこんできた大太鼓。今年担当する地代所良悦さん(46)は「100年前の先輩たちの思いをかみ締めながら、市民の心に響く音を奏でたい」と、祭りに向けて意気込んだ。中居林大神楽が使用する1919年に制作された大太鼓(左)。八戸三社大祭本番では100年前の響きを観衆に届ける=23日、八戸市